南の角地は、日当たりも風通しもよく、憧れですよね。
土地探しを始めると、「南側の角地はいいなあ」なんて思う方も多いはず。
しかし、3階建てを建てるなら、南の角地は要注意。
割高だからでしょ?
もっと重要な落とし穴があるんです!
南向きの土地は、高いです。しかし、理由はそれだけではありません。
実は、南向きの角地は、3階部分がかなり減ってしまったり、天井が低くなってしまう可能性があるんです。
今回は、なぜ南の角地は注意が必要かを、詳しく解説します。
土地選びで注意すべきは、斜線規制
都内狭小地で家を建てようと思うなら、注意すべきは斜線規制。
斜線規制のある地域では、建てられる建物の高さに制限がでてきます。住宅密集地に行くと、屋根がかなりななめになっている家があると思います。あれが斜線規制です。
3階建ての高さは約10メートルですが、斜線規制があると10メートルの高さを確保できない部分が多くなります。結果として、3階の床面積が大幅に削られてしまいます。
斜線規制は2種類ある
斜線規制は、2つあります。
- 道路斜線規制
- 北側斜線規制
道路斜線規制は、道路の反対側から敷地に向かって斜めにかかる制限です。
北側斜線規制は、北側の家の敷地から斜めにかかる制限です。
2種高度地区の場合、道路斜線規制と北側斜線規制の両方がかかってきます。
3種高度の場合は、一般的な3階建て住宅の場合、北側斜線規制は気にしなくてよいです。
南角地は、3方向から斜線規制がかかる
ここまでで、お分かりになった方もいるかもしれません。
2種高度地区の「東南の角地」には、以下の3つの斜線規制がかかります。
- 南側道路の道路斜線規制
- 東側道路の道路斜線規制
- 北側の北側斜線規制
黄色い部分は3階を作れません
しかし、土地は、方位がぴったり真北・真南・真東・真西になっているとは限りません。実際には、「南東向きの土地」「北北西向きの土地」など、方位がずれている土地のほうが、多いのではないでしょうか。
そして、北側斜線規制は、少しでも方位が北にかかっていれば、制限がかかります。
つまり、南側の角地は、4方向からの斜線規制がかかることがとても多いのです。
3階部分がかなり減ってしまいます
ちなみに、これは土地が正方形の場合。土地が長方形の場合には、さらに注意が必要です。
3階は作れないか、作れても細い部屋になってしまいます
敷地が広かったり、2階建てだったりすれば、2種高度地域の斜線規制はほぼ問題になりません。
しかし、都会の狭小3階建てでは、死活問題。「3階建てを建てようと思っていたのに、建てられなかった」ということにもなりかねません。
※繰り返しますが、2種高度地区の場合なので、3種高度地区の場合にはあてはまりません。
おすすめの方角は、北!
一方、同じ角地でも、北向きの角地の場合。
北側斜線規制がかからないので、比較するとかなり土地を有効に使えます。
細長くても、十分横幅を確保できる可能性があります。
狭小地の角地を希望するなら、北側がおすすめ!
参考間取りは、天井高も確認しよう
不動産仲介会社は土地を売りたいので、不都合なことはあえて言わないかもしれません。
ですから、「3階建てが建てられますよ!」と言われても、簡単に信用してはいけません。
土地を探していると、「参考間取り」が掲載されていると思います。そのときには、間取りだけでなく、天井高と床下の高さも確認しましょう。
「実は天井高が2150しかなかった」「床下が10センチしかなかった」「前面道路から大幅にセットバックして建てている」など、どこかにしわ寄せがきているかもしれません。
どうしても南側角地が気に入ったら
南側の角地は、明るく、視界も抜けているため、とても人気があります。しかし、どのような家が建つのかわからないまま、焦って契約をしては大変です。
しっかりと検討をしてから申し込みをしましょう。
そうは言っても、土地は争奪戦。どうしてもほかの人に先を越されたくないという場合もありますよね。そのような場合は、まずは申し込みをして、交渉権の1番を抑えましょう。そのうえで、実際の契約日は、できるだけ先に設定しておきます。
その間に、参考プランを描いてもらい、しっかりと検討をしましょう。
- 床面積
- 斜め壁の位置と程度
- 天井高
- 床下の高さ
- 半地下や地面を掘った場合の価格
天井高と床下がの高さを確保できない場合、地面を掘るという手もあります。しかし、掘れば掘るほど、土の撤去費用はかさみます。
もし床面積が十分にあれば、天井高を低く抑えつつ、吹き抜けを入れるという方法もあります
居住空間とのバランスを考えて、ご自身と家族が納得できれば、購入に踏み切りましょう!
東南角地を買うなら、ハウスメーカーはしっかり選ぼう
ここまで見てきたように、南側の角地は、とても制限の多い土地です。
そのため、ハウスメーカーや工務店などの建築会社は、普通の土地以上にしっかりと検討する必要があります。
地下を作れる会社は限られますし、ハウスメーカーによっては、「床下40cm」などの規定があることがあります。スキップフロアでうまく斜線規制をかわせることもありますし、屋根断熱や折り上げ天井などの工夫により、天井高を実現する方法もあります。
土地と建築会社には、やはり相性があります。不動産屋さんに聞いたところ、大手ハウスメーカーで狭小3階建てを建てている人は非常に少なく、1割か2割くらいなんだそうです。
あなたにぴったりの工務店の選び方については、以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
また、3階建てを建てやすい土地についてはこちらでも解説しています。