一条工務店で3階建てを建てたいです! 性能最高だし、インスタで見た家もおしゃれ!
一条工務店の性能は、とても魅力的ですよね。でも、もしあなたが建てようとしているのが、狭小3階建てだとしたら、ちょっと待ってください。
結論から言うと、一条工務店の狭小3階建てには、以下のようなデメリットがあります。デメリット以前に、そもそも「うちでは建てられません」と一条工務店側から断られる可能性もあります。
間口が狭いと建てられない
北側斜線規制に対応しづらい
オープンステアが入らないかも
ひとつずつ、順番に解説していきます。
また、コラムの最後には、「どうしても一条工務店で建てたい!」という方のために、一条工務店で建てられる土地の条件や、土地探しの方法についてもお伝えします。
一条工務店の3階建てはやめたほうがいい3つの理由
間口が狭いと建てられない
一条工務店は、間口の制限があります。つまり、間口が狭い土地では、一条工務店の家は建てられません。
私が検討した商品(グランセゾン)の建物最小間口は、4.5メートルでした。建物間口が4.5メートルということは、土地の間口は最低でも5.5メートルは必要になります。これは、法律上、隣の土地との間を50cm開けることを推奨されているからです。お隣さんと協議をして、30cmにできることもありますが、その場合でも、土地の間口は5.1メートルは必要です。
ところが、東京や京都でよくある狭小地は、土地の間口がそもそも4.5メートルや、5メートルということが多いのです。
そうなると、一条工務店で建てることはできません。
北側斜線規制に対応しづらい
北側斜線規制というものを、ご存じですか? 北側斜線規制は、土地の北側の部分には高さの高い建物は建ててはいけないというルールです。北側にある土地の日当たりを保証するためのものです。
通常の2階建てであれば、そこまで問題になることはありません。しかし、3階建てだと、建物の高さが高いので、北側部分のみ建物の高さを低くするなどの対応が必要になります。
地元工務店や、自由度の高いハウスメーカーだと、天井部分を斜めにしたり、1階の天井高を低くすることで、この規制をクリアします。
しかし、一条工務店では、斜めの天井を作ることはしません。3階建ての場合、天井高はすべて2400で、これ以上高くすることも低くすることもできないのです。
そのため、3階建てが建てられないか、建てられても3階部分が非常に狭くなってしまうなどの制限が出てきてしまいます。
北側に庭を作るなどの工夫をすることで、うまく北側斜線規制をかわせることもありますが、狭小3階建ての場合、庭を造るだけの土地の余裕はないケースがほとんどです。
オープンステアが入らないかも
オープンステアを知っていますか? 写真のように、階段の向こう側が抜けているタイプの階段のことです。オープンステアのほかにも、シースルー階段や、鉄骨階段などと呼ばれることもあります。
通常、こういった階段を導入するには150万~200万円くらいかかります。しかし、一条工務店では、追加料金わずか数万円(2万円程度)で、オープンステアが導入できます。
もし、このオプションを採用予定だったら要注意です。こちらの階段、防火認定がとれていないらしく、採用できないケースがあります。狭小3階建てを検討している場合、そのエリアは「準防火地域」に指定されている可能性が高いです。オプションで他社の鉄骨階段を導入すると、結局150万円ほど必要になります。
それでも一条工務店で建てたい場合の対応策3選
一条工務店で狭小3階建てを建てようと思うと、このように通常の2階建てではかからないような制限がかかってしまいます。しかし、このような方もいらっしゃるのではないでしょうか?
どうしても一条工務店で建てたいけど、どうすればいい?
そのような方は、以下の3つの方法があります。
- 郊外の2階建てにする
- 3階建てが建ちやすい土地を探す
- 一条工務店に土地探しからお願いする
順番に解説していきます。
郊外の2階建てにする
もっとも簡単なのは、3階建てをあきらめて、郊外の2階建てにする方法です。
2階建てにすることで、さまざまなメリットがあります。
- 同じ価格で、広い土地が買える
- 2階建てのほうが安い
- 準防火地域ではなくなる可能性がある
- 自由度も高くなる
郊外に行くと、土地が安くなり、当初の予算で広い土地が買えるようになります。それだけでなく、建物も2階建てのほうが、3階建てよりも安く建てられます。
- 2階建ては構造計算が不要
- 地盤補強の可能性が少ない
- エアコンの工事なども安くなる
また、3階建てを建てるエリアは準防火地域に設定されていることが多く、家を建てるときには通常のエリアと比べて、約1割ほど価格が高くなります。(防火用の窓や資材が高額だからです)
さらに、3階建ての場合には、「3階の道路側に緊急脱出用の出入り口(大きな窓で代用可能)を設ける」などの消防法のルールがあり、間取りが制限されます。
また、準防火地域では燃えやすいものの使用が制限されますので、「キッチンを下がり天井にして、レッドシダーを張りたい!」なども実現できません(木の模様の不燃性の壁紙などで代用することになります)。さらには、窓の選択肢も減ります。
このような事情を考えると、郊外の2階建てを選ぶメリットは大きいです。
3階建てが建ちやすい土地を探す
もう一つの方法は、「一条工務店でも3階建てを建てやすい土地を選ぶ」という方法です。この方法は、「土地探しに労力をかけられる」方や、「一条工務店以外で建てる可能性がある」方にぴったりです。
- 北向きの土地
- 角地は避ける
- 3種高度地区または、高度の設定がない土地を選ぶ
住宅地の土地などは、「高さ制限」があることが多いです。このような情報は、土地の販売ページに掲載されています。一条工務店で3階建てを建てるのであれば、「第一種高度地区」は避けたほうがよいです。
高度地区については、以下で詳しく解説しています。土地にこだわる方は、これを読んでおくと「土地探しの目」が養われます。
さて、一条工務店で3階建てを建てたい場合、当サイトのおすすめは、「第三種高度地区」です。第三種高度地区は、マンションなどが建ちづらいので、住環境もある程度保証されますし、3階建てであれば北側斜線規制も問題になりません。
高度地区の設定のない土地でももちろん建てられますが、南側にマンションが建ってしまうなどの可能性があるので、住環境という意味では、第三種高度地区が安全だと思います。
「北向きの土地を選ぶ」、「角地を避ける」などは、解説すると長くなりますので、別ページにまとめてあります。
「施主が自分で3階建てを建てられる土地を探す」方法は、施主が土地に関する勉強をしなければならないのと、エリアやタイミングによっては土地探しが難航することがデメリットです。
一条工務店に土地探しからお願いする
最後の方法は、一条工務店に土地探しからお願いするという方法です。この方法は、「一条工務店で建てることが決まっている方」や、「土地よりも家を重視している方」におすすめです。
ここまで説明してきたように、一条工務店で3階建てを建てられる土地は、正直、少ないです。上記で説明した「高度地区」「北側斜線規制」のほかにも、建蔽率や容積率、「道路斜線規制」「前面道路の幅」「土地の方角」「角地緩和規制」など、いろいろな法規制を確認しなければ、希望の家が建つかどうかがわかりません。
正直、仕事をしながら、片手間でこれらの法規制を理解していくのは大変です。そんなときは、一条工務店に土地探しからお願いしてしまいましょう。こうすれば、一条工務店で3階建てが建てられる土地を探してもらえます。
一条工務店経由の不動産屋さんだと、仲介料を割引してくれることもあるようですので、「一条で建てる」ことが決まっている場合には、この方法がベストだと思います。ただし、地元不動産が持っているような「非公開の土地情報」は手に入りません。
まとめ:一条工務店の3階建て
一条工務店で3階建てを建てるのは、とても難しいです。これは、一条工務店のルールが厳しく、建てられる土地が限られているからです。
一条工務店を検討している方は、あらかじめ一条工務店の情報や、「一条ルール」をおさえておくと、契約後の後悔をふせぐことができますよ。