設計事務所にマイホームを依頼する人は、少数派です。そのため、インターネットなどでも、情報が少ないです。
しかし、設計事務所に依頼をするなら、どのような点に注意しなければならないか、事前に知っておきたいですよね。
我が家は、アトリエ系設計事務所にマイホームの設計を依頼しました。2023年現在、マイホームを計画中です。今回は、実際に依頼してわかった、「設計事務所のメリット・デメリット」をご紹介します!
設計事務所に依頼するメリット
まずは、設計事務所にマイホームの設計を依頼するメリットからご紹介します。
デザイン性が高い
アトリエ系設計事務所にお願いする、最大のメリットかもしれません。インスタグラムなどで見ていると、こんな後悔の声はけっこうあります。
- 巾木(壁の一番下についている壁紙保護用のパーツ)がダサい
- 見切り材(床材の切り替えの部分に入るパーツ)がダサい
- 幕板(吹き抜けや階段などに設置されるパーツ)がダサい
- 給気口や火災報知器の位置が微妙
素人では気づきにくいことばかり!
設計事務所では、素人が気づかないような細部まで、気を使って建ててくれるので、「細かい部分がダサい」ということが起こりにくいです。
たとえば、私たちがお願いした設計事務所では、巾木が造作でした。床の色に合わせて塗装するのだそうです。また、見学に行ったお宅でも、見切り材は真鍮の細いものを使用していました。
設計事務所にとっては、家は住む人のためのものであると同時に、自分たちの作品でもあります。設計事務所の名にかけて、「ださい家」を建てることは、ありません。
自由度が高い
設計事務所では、自由度の高い家を建てることができます。「自由度が高い」には、2つの意味があります。
- 設備の自由度が高い
- 間取りの自由度が高い
それぞれ詳しく解説します!
設備の自由度が高い
設備とは、キッチンやトイレ、お風呂などを指します。
ハウスメーカーの場合、提携しているメーカーが決まっています。そのため、以下のようなことが起こります。
- お気に入りのキッチンが採用できなかった
- TOTOのお風呂は採用したら、多額の追加費用がかかった
- LIXILの窓枠以外は使えなかった
- すべての窓のブランドを統一するように言われた
グラフテクトは提携していないから入れられないって言われた………
設計事務所の場合、「このメーカーの品をよく使います」というものはありますが、ほかのメーカーが入れられないということは、ほぼありません。ですから、こんなことも可能です。
こっちの窓は、リクシルで。あっちの窓は、YKKで。キッチンとお風呂は造作でお願いします
構造の自由度が高い
設計事務所では、設備が自由に選べる、というのはよく知られています。しかし、構造や間取りの自由度が高いというのは、知らない方が多いかもしれません。
我が家が提案してもらった間取りは、ハウスメーカーでは建てることができないようなプランでした。
- 天井高がばらばらのスキップフロアプラン
- 3階分の大きな吹き抜けプラン
ハウスメーカーの構造計算は、多くの場合、ソフトで行うのだそうです。一方、私たちがお願いした設計事務所では、お付き合いのある構造計算事務所があり、そこに構造計算を依頼します。
ソフトは、どんな家にも対応できるように開発されています。そのため、多少のぶれにも対応できるように、かなりシビアに計算するようです。
一方、構造計算事務所だと、個別の家を丁寧に計算することができるので、案外、耐震性をクリアできるんだそう。
また、ハウスメーカーでは「耐震等級3」でないと建てられないなどの制限があることもあります。工務店や設計事務所では、その点「耐震等級1」「耐震等級2」もOKというところが多く、間取りの選択肢が増えます。
あまり営業してこない
私たちが依頼した設計事務所さんは、窓口が設計士さんでした。営業活動は、専門ではありません。
ハウスメーカーでは、「駆け引き」や「価格交渉」が前提のところもおおいはず。一方、設計事務所さんでは、駆け引きをする必要がありません。
ハウスメーカーさんとやり取りをしているときは、「適正価格で売ってもらっているか」が気になり、いつも疑心暗鬼でしたが、設計事務所さんでは、そのような気持ちになることはありません。
これは、精神的にとても楽でした
設計事務所は、最初から最後まで、よりよい家を建てるパートナー。予算内で希望の家が建つよう、工夫をしてくれます。
「担当者ガチャ」になりにくい
「担当者ガチャ」という言葉をご存じですか?
これは、「担当者のあたりはずれがある」ことを指す言葉です
ハウスメーカーの場合、住宅展示場などに行くと、自動的に「営業担当者」がつきます。家を建てる場合、「営業の力によって、いい家が建つかどうかが決まってしまう」と言われています。優秀な営業さんであればいい家が建ちますが、そうでなければいい家は建ちにくいというわけです。そして、どのような営業さんがつくかは、運しだい。
一方、設計事務所の場合、「営業ガチャ」にはなりにくいです。設計事務所の規模にもよると思いますが、小さい設計事務所の場合、「○○設計事務所」の○○さん(代表や共同代表)が担当してくれることも多いと思います。
設計事務所が建てた家には、著作権があります。ですから、雑誌などで「この家がすてき!」と思ったら、だいたい設計した人の名前が載っています。
その設計士さんを指名するわけですから、「ガチャ」にはなりにくいです。
ただし、大きな設計事務所さんで、設計した担当者さんが載っていない場合は、ガチャ(運)もあるかもしれません。
設計事務所に依頼するデメリット
次に、設計事務所でお願いするデメリットをご紹介します。
価格が分かりにくい
設計事務所が管理できるお金は、「設計料」です。そのため、実際の工事にかかる値段は大雑把にしかわかりません。
設計事務所にマイホームの設計をお願いをすると、設計が終わった時点で、複数の工務店に見積もりを依頼します。価格が決まるのは、このとき。
そこから、予算に合わせて調整をしていきます。
資金計画に余裕がないと、不安になってしまうかもしれません。
性能に注意
設計事務所の場合、家の「デザイン」は優れていても、「性能」はイマイチという場合もあります。
もちろん、多くの設計事務所では断熱性・気密性なども重視していると思いますが、中には、「令和デザイン×昭和性能」な家もあるかもしれません。
過去の建築事例(作品)を必ず見ておきましょう!
要望を言いにくい可能性
建築家さんは、施主のために家を建てるので、「こちらの希望が通らない」ということは、基本的にはありません。
しかし、中には、「意見を言っても、反対ばかりされる」「建築家の好みの家が建って、自分の家という感じがしない」ということもあるようです。
また、Youtubeで見たとある建築家は、「施主が既製品のキッチンを希望したので、リビング側から見えないように美しい腰壁をつくりました」という発言をしていました。
既製品キッチンは、美意識に合わなかったのね……
大建築家にお願いする場合、「こんな要望は失礼だろうか」「建具は既製品でいいんだけど、言いにくいな……」と感じることもあるかもしれません。
時間がかかる
設計事務所にマイホームを依頼すると、一般的には、工務店やハウスメーカーよりも、家が建つまでに時間がかかります。
ハウスメーカーにはある程度規格がありますが、設計事務所で建てる家はオーダーメイド。
私たちが依頼した設計事務所では、「設計半年、施工半年」で家が建つまでに約1年かかります。(設計事務所の中では、早いほうだと思います。)
今現在、少し押していて、トータル1年3カ月くらいで建つ予定です。
設計事務所によって、あるいは施主によっては、設計に1年以上を費やすこともあるようです。
まとめ:設計事務所のメリット&デメリット
今回は、設計事務所のメリットとデメリットについてまとめました。
メリット | デメリット |
---|---|
デザイン性が高い 設備や構造の自由度が高い あまり営業してこない 「担当者ガチャ」になりにくい | 価格が分かりにくい 性能に注意 要望を言いにくい可能性 時間がかかる |
我が家は設計事務所にマイホームの設計をお願いしましたが、今のところ後悔はありません。
設計事務所に興味がある方は、我が家の経験をつづったブログもぜひ読んでみてくださいね!
実際には、大多数の方がハウスメーカーや工務店を選びます。工務店を探しているかたは、こちらの記事も参考にしてください。